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【IoT時代】スマートシティの事例紹介

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「スマートシティ」は街中のあらゆる「モノ」をインターネットに繋げることで、より便利で豊かな生活を実現しようという構想で、先進国のみならず途上国の発展をサポートできる仕組みとして世界で注目されています。家や車、家電などさまざまな「モノ」をインターネットに接続するIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の仕組みを活用して街の設備から取得したデータを生活インフラ・サービスに還元し、効率的に管理・運営を行うというものです。IoTの膨大なデータを活用した海外の事例をメインに、国内のスマートシティの取り組みについても紹介します。

なぜ今「スマートシティ」なのか?

スマートシティが注目される背景には、人口の都市集中化の問題があります。2050年には人口の70%が、都市部に住むようになるといわれています。人口が集中すれば活動が活発になりますが、一方では交通渋滞が増えることが予測されますし、都市部の電力やエネルギー消費が大きくなるために、それをいかに効率的に賄うか、といったことが課題となってきます。
こうした課題を環境に配慮しながら解決し、さらに継続的な経済発展を目指すスマートシティ化への取り組みが各地で進んでいます。

【事例①コペンハーゲン】
現在EU各国では「欧州2020」と呼ばれる、持続可能(サスティナブル)な社会の実現と経済成長を両立させる戦略を推進していますが、デンマークはそのEUをリードする取り組みを行っています。デンマークの首都コペンハーゲンは、2025年までに「世界最初のカーボン・ニュートラル(CO2の収支をゼロにする)を達成する首都」になることを目指しており、スマートシティに関する国際会議「Smart City Expo & World Congress 2014」で、先進的な環境都市を讃える「ワールド・スマートシティアワード」にも選ばれた都市です。

デンマークでは「スマートグリット(次世代送電網)」と呼ばれる、電力のコンピュータ制御が進んでいます。2020年までに国内使用電力の50%を風力エネルギーで供給する目標が掲げられていますが、風力発電などの再生可能エネルギーは供給量が変動するため、情報技術を用いて電力需要と供給のバランスを調整するスマートグリッドが不可欠とされています。家庭や会社に取り付けられたスマートメーターが、リアルタイムに電力の使用状況を測定し、供給する電力をコントロールしています。

また、大気汚染対策として移動手段に自転車の利用が推奨されており、自転車専用レーンの整備の他、サイクリストへの渋滞情報・天候情報を提供しています。街の各所に交通量センサーが設置され、自転車・バスがノンストップで走り続けられるよう、運行情報から信号を自動制御する「スマート信号」なども運用されています。今後は、外出している人出に合わせて、イベントや販売促進のサービスの展開も視野に入れているようです。

【事例②バルセロナ】
バルセロナは、スマートシティ化によって年間約1兆円もの価値を生み出している都市です。
歩行者が多い道路には車両のスピードセンサーが埋め込まれており、車の速度が時速30km以上になると次の信号が自動的に赤になる仕組みを採用することで車の速度を抑制し、事故を未然に防ぐ取り組みがされています。これにより、市内の事故が大幅に減っているとのことです。

また市内の公園のスプリンクラーには土壌の湿度を検知するセンサーが取り付けられ、土が乾いた時に効率よく散水することで、従来と比べ水道代を25%も削減するとともにオペレーションを無人化することによって関連する人的コストも削減しています。

他には、市内に設置されたゴミ箱にセンサーを取り付け、ゴミの量に応じて効率よくゴミ収集をしたり、交通量に応じて街灯の明度が調整される「スマートライティング」、水の需要データから供給を調整する「スマートメーター」など、様々な方法で適切なエネルギー配分を計算し、無駄を削減しています。

【事例③日本】
日本では2011年~2014年に、経済産業省により「次世代エネルギー・社会システム協議会」が設置され、4つの都市で実証実験が行われました。
横浜市、京都府(けいはんな学研都市)、北九州市ではスマートグリットによるエネルギー利用の最適化の実験を、そして豊田市は、トヨタ自動車のお膝元ということもあり、次世代自動車を導入した低炭素交通システムの構築実験が実施されました。

しかし、日本における取り組みはまだ実証段階にとどまっています。渋滞やゴミ収集、駐車場問題など、包括的な取り組みを進めるスマートシティ先進国には及びません。今後、ますます官民一体で、街の活動のデータを有効に活用した取り組みが期待されます。

スマートシティ化で需要と供給を適切に

IoT技術の活用により、必要なところに必要なだけのエネルギーや物資、サービスを供給することは無駄を省き、より効率的で快適な都市づくりに欠かせないものとなるでしょう。都市の「スマート化」以外では、スマートスピーカーなどを用いた「スマートホーム」の実証実験やその他IoT商品の開発もされています。今後、様々なものがインターネットにつながり、データを収集できるようになると「スマート市場」を狙った新たなビジネスも増えてくるのではないでしょうか。

 

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