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請求書などの証憑書類の保存期間と効率的な保存方法とは?

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企業会計において、取引先などから受領する請求書をはじめとした証憑書類(見積書、納品書、領収書など取引の証拠となる書面のこと)は一定期間保存することが義務付けられており、会社判断で自由に破棄することはできません。取引があった事実を証明するための証拠資料を整理保存することで、円滑な経営管理を行うことを目的としたルールであり、税法に規定されています。

2017年11月現在、証憑書類については基本的に7年間保存することが税法上の要件となっています。税法上の保存要件を要約すると以下の通りです。

①総勘定元帳や仕訳帳などの帳簿と、取引に関連する注文書や請求書などは7年間
②平成20年4月1日以後に終了した欠損金の生じた事業年度はについては保存期間が9年間
③平成30年4月1日以後に開始する欠損金の生ずる事業年度については保存期間が10年間

引用:国税庁ホームページhttps://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5930.htm

つまり、今後請求書などの証憑書類を保存する仕組みを作っていく場合は、最低10年間は保存できるものとする必要があります。ただ取引の記録を紙で保存し続けることは管理工数的にもスペース的にも企業にとって大きな負担になります。

そこで近年では電子データでの保存を進める企業が増えていますが、正しい運用をしないとその恩恵を受けることはできません。むしろ、業務プロセスを増やしてしまう可能性もあるのです。

文書の電子保存の方法

では、現在注目される電子保存にはどのようなものがあるのでしょうか。

比較のため、まずは紙でのプロセスを見ていきましょう。

図①
紙でのプロセス①

図①は、取引先から受領した紙の文書を紙のまま保管する、という一般的なプロセスです。取引先を含め、多くの工程を挟んでいることがわかります。

このプロセスで、文書保管を紙ではなく、データで保存するパターンが図②になります。

図②

紙でのプロセス②

こちらは「スキャナ保存」と呼ばれる方法で、紙で受領した文書を紙のままではなくスキャナで画像やPDFなどのデータに変換し、データで保存するというものです。図①と比較すると最後の文書保管の部分がスキャナ保存に変わっていますが、その他のプロセスには一切影響を与えない方法です。

自社だけで対応できるため、導入も簡単そうに見えますが、受領した文書を破棄しスキャンされた文書を原本として保存するためには、所轄の税務署長の承認が必要です。また、スキャナ保存する際には日本データ通信協会が認定するタイムスタンプ事業者が発行するタイムスタンプを付与することが義務付けられています。

近年、保存要件が緩和されたことを受け、様々な企業がスキャナ保存を検討していますが、技術的な要件をクリアする体力がある企業だけができる方策と言えるでしょう。

紙を前提としないプロセス

スキャナ保存は取引先から紙の文書が送付されてきますが、最近では文書を手書きでなくパソコンや専用のシステムなどを使って作成する企業が増えています。よってわざわざ印刷や郵送することでデータを消してしまうよりは、データをそのまま相手に送る電子取引も注目されています。

図③

データでのプロセス

電子取引はインターネットの普及以前から、電話網や専用線などを使って電子化されたビジネス文書のやり取りを行うEDIなどで知られていますが、近年はインターネットが普及し、パソコンやタブレットなどのデバイスの普及率が高まったことから、以前よりも手軽に電子取引を開始できるサービスが増えています。

電子取引の場合は、原本自体がデータであるため、それをわざわざ印刷して保管する必要はなく、改ざん防止策などを盛り込んだ適正な事務処理規程があればどのような企業でも電子データとして文書を保存することが可能です。電子取引では税務署の承認も必要ありません。

また、データで文書の内容を受信できるため、受信側ではデータ入力作業は不要となり、紙の書類を扱うマニュアルの工数やミスの削減など、業務の効率化が期待できます。また、送付側も送付にかかる工数やコストを抑えることができますので、電子取引はそれを行う双方の企業にメリットがあります。まさに、文書の電子保存の最終的な形態と言ってよいでしょう。