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営業職のテレワークを考える上で知っておくべき考え方 – インサイドセールスの現状や導入する際に必要な環境整備について

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近年、在宅勤務などのリモートワークを推奨する企業が増えています。対面での商談が当たり前だった営業職においても、働き方の再考が迫られています。そのヒントとなる考え方が、海外で広がるインサイドセールスです。インサイドセールスの定義や役割などについては、前回のブログで紹介しましたが、今回は日本におけるインサイドセールスの現状や、日本企業が導入する際に必要な環境整備について解説します。

 

欧米と日本におけるインサイドセールスの現状

欧米のインサイドセールスは、見込み客への電話から、アポ取り、商談、クロージング、アフターケアまで、営業プロセスのほぼ全てを担います。

一方、日本では「営業担当者の顔を実際に見て話を聞きたい」という取引先が多いのが実情。HubSpot Japan社が、商品・サービスの買い手企業の310人に対して行った調査(2019年)では、「営業担当者に自社を訪問してほしい」と答えた人は全体の60.7%でした。

ただ、その理由を見てみると、一番多かったのは「顔を見ずの商談には誠意を感じない(35%)」、続いて「営業担当者の顔を見ると安心感がある(24.8%)」という答え。つまり多くは気持ちや印象の問題で、「ビデオ会議が会社で禁止されている」「ビデオ会議や電話で説明を受けるには複雑すぎる商材だと感じる」などの合理的理由はいずれも15%未満でした。

調査では、インサイドセールスを導入している企業と、していない企業の営業担当者に商談の成約率を尋ねたところ、加重平均値はそれぞれ39.6%と41.6%で大差がなかったことから、「物理的な訪問で買い手に『誠意』や『安心感』を与えたとしてもそれが成約率を大きく押し上げているわけではない」としています。

減り続ける労働人口や社会情勢の変化などに柔軟に対応するためには、こうした合理性の観点から最適な営業の形を模索することが重要です。経営者515人を対象にした同社の調査によると、日本でインサイドセールスを導入している企業はわずか11.6%ですが、新型コロナによる外出自粛も相まって今後増加していくでしょう。

ではインサイドセールスの導入にあたってどんな準備が必要なのでしょうか。

 

インサイドセールスの導入にあたり必要な準備

まずは、組織を整備すること。

インサイドセールスの活用方法は大きく3つのタイプがあると言われています。

1つは、欧米のインサイドセールスと同様に、営業プロセス全てを担う「独立タイプ」。2つ目は、アポ取りまでをインサイドセールスが担い、商談以降のプロセスをフィールドセールスが担う「分業タイプ」。3つ目は、アポ取りまでをインサイドセールスが基本的に担うが、案件によってはクロージングやアフターケアまで行う「協業タイプ」。

上述したように、日本でいきなり欧米式のインサイドセールスを導入するのは難しい場合もありますが、これら3つをモデルに自社の状況に合わせて組織をアレンジしましょう。

次に、リモートの営業活動を可能にするツールも必須です。インサイドセールスの強みを最大限に活かすには、営業活動の全てをITで完結させましょう。

最低限必要なのは、ウェブ会議システムと電子商取引システムです。

ウェブ会議システムは、トークスクリプトの表示や、会話の録音、議事録の作成など、各社様々な機能を備えたサービスを提供しています。なるべく商談データを細かく残し、ノウハウの蓄積につなげることが大切です。

また、見積書や請求書、領収書などのやり取りを、電子取引に移行することも求められます。

例えば、クライアントが見積を求めてくれているのに、書類を作成し、プリントアウト、郵送していては、到着を待つ間に購買意欲が冷めてしまうかもしれません。しかし、文書をWEBで作成・管理できるクラウドサービスを活用すれば、商談中でも、すぐに見積書を提示することが可能。より営業活動がスピーディーで柔軟になるのです。

 

商品に対する顧客ニーズの多様化とともに、見込客へのコミュニケーションについても幅広い営業の形を手札に加えておくことが大切です。その1つの形として、日本でもインサイドセールスが今後広がっていくでしょう。