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営業職のテレワークを考える上で知っておくべき考え方 – インサイドセールスとは

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響拡大により、在宅勤務などのテレワークを実施する企業が増加しています。エンジニアやマーケティング担当者などの、業務のために必ずしも職場に行く必要がない職種だけでなく、「足で稼ぐもの」と考えられがちな営業職においても働き方の再考が迫られています。

営業職のテレワークを考える上で知っておくべき考え方が、インサイドセールスです。インサイドセールスとは、簡単に言うと、対面ではなくリモートで行われる営業のこと。足で稼ぐ営業を指すフィールドセールスの対になる、海外発祥の言葉です。日本でも徐々に認知されてきましたが、海外におけるインサイドセールスをめぐる状況はどんなもので、どのような導入のメリットがあるのでしょうか。

 

インサイドセールスとは

インサイドセールスは、1980〜90年代にかけてイギリスやアメリカで生まれた概念です。1950年代に始まった、電話を介した商品販売のテレマーケティングが原型と言われています。国土が広い欧米では移動コストが高く、「足で稼ぐ」ことが必ずしも最適な営業手法とは言えないため、リモートでクライアントとコミュニケーションをとる手段としてインサイドセールスが重宝されてきました。

「インサイドセールス」は、直訳で「内側の営業」。つい、テレアポをとる担当者のイメージを思い浮かべてしまうかもしれませんが、欧米におけるインサイドセールスの定義は異なります。見込み顧客に電話を掛け、商談のアポイントを取り、フィールドセールスにつなぐという中継ぎ的な存在ではなく、商談からクロージング、さらにアフターサポートまで、営業プロセスのほぼ全てを担うのです。

 

米国でのインサイドセールスとフィールドセールスの比率

米The Xant社が行った調査(2017年)によると、全米の営業担当者570万人のうち、インサイドセールスが約47%、フィールドセールスが約52%で拮抗しています。ヨーロッパにおいては、インサイドが37.1%、フィールド62.9%で大きな差があるものの、調査は「世界全体でこの比率は均衡に向かう」と予想しており、理想的な比率は「50-50である」としています。

また、同社が売り上げ5億ドル以上のアメリカ企業を対象に実施した調査では、売り上げの約71%がフィールドセールス、約29%がインサイドセールスによるものだったとしており、「調査対象企業は(約29%の数字を)約40.3%に引き上げたいと考えている」と解説しています。

 

インサイドセールス導入のメリット

このように注目を集めるインサイドセールスですが、どんなメリットがあるのでしょうか。
1つは、上述したコストカット。移動にかかる費用や時間をカットでき、より効率的な働き方の実現につながります。

次に、顧客へのスピーディーな対応が可能になることです。商品に関する問い合わせがあった場合、フィールドセールスだと、商談のセッティングなどをしている間に顧客の興味関心が薄れてしまう恐れもありますが、インサイドセールスならすぐ当日にでも商談を行うことができます。

さらに、部署全体での営業ノウハウの蓄積が容易になることも、インサイドセールス導入の利点です。インサイドセールスは電話やEメール、SNSなどを駆使して行うことが多いため、セールス活動のログを取りやすくなります。つまり、どういったトークが相手に響くのかを社内で研究しやすくなり、個人のトーク力任せのセールスから脱却できるのです。

また、インサイドセールスのようなテレワークを推進することは、働き方改革にもつながります。満員電車を避けたり、他拠点生活ができるようになり、社員一人一人に合った働き方を可能にし、心身の健康にも寄与するでしょう。

さまざまな効果が期待できるインサイドセールスですが、組織でその存在を効果的に機能させるためには、リモートの営業活動を可能にするクラウドサービスの活用が必要です。
次回のブログでは、こうしたインサイドセールス導入に必要な準備について説明します。