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請求書電子化の方法を解説!導入前に押さえておきたいメリット・デメリット

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最近では、請求書のやりとりをオンラインで完結させる「電子請求」が浸透してきています。ペーパーレス化や経費削減のため、請求書の電子化を考えている方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、請求書電子化の導入を考えている方が知っておきたい、メリットとデメリットを解説していきます。

請求書の電子化とは

取引先の担当者などから「請求書をください」と言われたら、通常は社内システムやエクセルなどで請求書を作成し、印刷して相手の会社へ郵送するというのが一般的です。しかし、わざわざ印刷・封入・発送するのは郵送コストがかかりますし、それらの作業にマンパワーもかかります。また、受け取った相手側企業も紙の請求書の内容を自社システムに転記するなど、双方で手間がかかります。

そんな課題を解決するのが「電子請求」であり、それを実現するのが「請求書電子化」です。請求書をシステムやパソコンで作成した後、その請求書の電子データをそのまま先方に送信することで簡単かつスピーディーに請求書の送付が完了します。請求書発行の電子化により、請求書の作成から送付・受取までをオンラインで完結できることから、これまでかかっていた印刷・封入・発送業務の手間とコストを削減し、事務処理の時間短縮にもつながります。

◆請求書電子化のメリット

請求書を電子化すると、どのようなメリットとデメリットがあるのか、もっと具体的にみていきましょう。

・経費の削減になる

従来は請求書をシステムやパソコンで作成した後、印刷して押印、封入・宛名書き、発送など、いくつもの工程を踏む必要がありました。これらの工程をすべて電子化、ウェブ送付化すれば、各工程にかかる印刷代、用紙・封筒代、発送料などの物理的なコストのほか、作成から郵送までの作業工数も削減されます。

請求情報をデジタルデータとして作成し、すぐにオンラインで送付すれば作業が完了するという簡単・素早さは大きなメリットといえます。また、受け取る側にとっても、データをそのまま活用することで、紙の請求書の内容をシステムに転記する作業や、ファイリングして保管するなどの作業が無くなります。物理的なコストと事務処理が大幅に減ることで経費の削減が可能になります。

・事務処理の自動化をすることができる

請求書の情報がデータでやりとりされることになるため、このデータを活用して、人がマニュアルで行っていた事務処理を自動化することができます。例えば、電子請求書を受領した側は注文書との照合作業を自動化することで、例外や不整合が発生した請求書だけをマニュアルでチェックし、それ以外を自動的に支払いに回すことができます。また、発行した側は相手が請求書を受領した時、送金した時などのステータスをリアルタイムに知ることができるようになるほか、銀行口座への入金情報と照合すれば、入金消しこみ作業も自動で行うことが可能になります。

・働く場所を選ばない

請求書電子化はインターネットに接続できる端末とインターネット環境さえあれば作業を行うことができるため、働く場所を選びません。ペーパーレス化だけでなく、テレワーク促進にも貢献します。

◆請求書電子化のデメリット

・社内ルールですぐに対応できない企業もある

電子請求にメリットが多いことは多くの人が理解していますが、現実的にはまだ紙の請求書を原本として扱い、その原本に社印の捺印を要求する企業も多く残ります。電子請求で請求データを送付したとしても、別途で紙の請求書を送付することを要求されることもあります。これらは税法上の制約ではなく、あくまでも社内ルールなのですが、それを変更するために取引先を説得することに時間がかかる場合があります。

・紙の請求が残る場合には2つのプロセスをもつ必要がある

全ての取引先が電子請求に切り替わるまでの間は、紙の請求書と電子請求書の2つの形式に対応するプロセスを持つ必要があります。このため、請求書電子化を進める際にはできるだけ短期間で電子化率を上げる必要があります。理想的には90%以上の電子化率が望ましく、最低でも70%以上の電子化率を達成しない限り、紙の請求書を処理するプロセスが「例外」プロセスではなく、「通常」プロセスとして残ってしまい、事務処理がかえって複雑になってしまう可能性があります。

請求書電子化の方法

請求書を電子化するには、税法上適正な請求書の送受信が可能なツールの導入が必要になります。送付する側、受け取る側の利用企業双方に税法の基準を満たすツールを導入することになるため、請求書の電子化とツールの導入両方について取引先の理解・了承を得る必要があります。そして、情報漏えいリスクも考慮した上で、双方の会社にツールのセキュリティ体制を構築することが重要です。そのため、双方で別のツールを導入するのではなく、電子請求に対応したクラウドサービスを双方で使用することが一般的です。

請求書電子化は買い手の立場から始める

請求書電子化を効果的に進めるには、相手企業の協力が不可欠です。一般的には、送付側(売り手側)からよりも、受領する側(買い手側)からアプローチしたほうが立場上の優位性もあり相手企業の協力を得やすくなります。効果的に電子請求を進めるためにも、最終的な電子化率を最低限上げるためにも、請求書電子化を始める際には、受領する側から電子化を進めた方が良いとされています。

「電子請求」と「スキャナ保存」の違いに注意

2016年に電子帳簿保存法が一部改正され、紙で受け取った請求書をスキャナで取り込んでデータとして保存する要件が緩和されました。この紙で受け取ってスキャンして保存する「スキャナ保存」は、スキャンする解像度や改ざん防止のための仕組み、税務署長の承認が必要になるほか、タイムスタンプの付与など一定の要件のもとに保存する必要があります。その点、もともとデジタルで取引する電子請求であれば、税務署長の承認は不要、かつ、タイムスタンプの付与なども必須要件ではないため、手間が省けます。

請求書作成・送受信機能も備える「Tradeshift」

請求書電子化を実現する一つのツールとして「Tradeshift」を導入する方法があります。Tradeshiftは”B2BのFacebook”と呼ばれるクラウド型のビジネスソーシャルプラットフォームで、個人間がFacebookでつながるように、参加する企業同士がオンラインでつながり、新規取引先の開拓や見積・注文・請求などの、法人間でやりとりされる文書をオンラインで送受信することができます。請求書についても、クラウド上で作成・送受信できる機能を備えています。また、数々のアプリをTradeshift上で提供しており、使いたい機能を臨機応変に適応できるのはTradeshiftを利用する一つの大きなメリットといえます。

請求書電子化はツール選びが重要

請求書電子化は、従来の紙に出力・封入・発送・管理といった一連の業務のコストや時間、手間を大幅に削減でき、業務効率化とスピードアップにつながるメリットがあります。一方で、取引先の了解や移行中に2つのプロセスに対応する必要があるなどの考慮すべき点もあるため、慎重に導入を進めることが必要です。

請求書電子化の際には、メリットと必要事項をふまえたうえで、柔軟に対応できるツール選びを行いましょう。

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