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マーケティングオートメーションで失敗しないためのポイントとは?

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ウェブマーケティングにおいてマーケティングオートメーション(MA)は近年大きな注目を集めています。見込み客に対して自動的に最適なアプローチをしてくれるため、うまく活用できれば圧倒的な業務の効率化を可能にします。

しかし、多くの現場でMAはその力を発揮できずに、メルマガ配信ツールのように扱われている現実があります。

そこで今回は、MA運用で失敗しがちなポイントについて深堀していきます。
社内体制やツール運用見直しの参考にしてください。

マーケティングオートメーションの需要

売り上げを伸ばし続けるには、継続的な見込み客の獲得と育成が必要です。

マーケティングオートメーション発祥の地アメリカは広大な国土を持つため地理的に分散した見込み客の中から、有力なものを見つけて育てていく新規顧客獲得のプロセスにおいて、効率化を推進する必要がありました。

この様な背景の中で開発されたのがMAであり、日本国内においてはより多くの顧客獲得を行う手段としての意味はもちろん、コスト削減や人手不足の解決策として導入事例が増えています。

見込み客の育成などの課題に対して活用

MAは見込み客育成(リードナーチャリング)の効率化を可能にします。

リードナーチャリングとは、ウェブサイトの閲覧や資料のダウンロードなど見込み客の行動に合わせて、ダイレクトメールやSNS、セミナー等による情報発信、定期的な提案などを実施し、見込み客の興味関心度合いを育てていくことです。

育成の最終段階(例:見積依頼やサービスへの問い合わせ)に至ったところでMAは購買の可能性が高まったと判断し、営業の担当者へ見込み客情報を共有します。

MAツール導入後の失敗パターンとは?

見込み客の育成を自動で行うMAですが、運用する上での準備が不十分で、結果的に失敗に至ってしまうケースも多くあります。ここでは失敗のパターンを挙げ、導入前に押さえておきたいポイントを整理したいと思います。

【パターン①】最適なシナリオの設計ができてない

シナリオとは、見込み客の状況に合わせてMAにどのような行動をさせるかをルール化したものです。

・資料をダウンロードした人には導入事例などを案内する
・価格のページを見た人にはキャンペーン情報を送る

というように、見込み客の興味関心度合いに合わせたシナリオを設定しておき、情報提供を行うことで、関心は育ち購入へ近づいていきます。

ここでの失敗パターンは、最適シナリオが設定できていないために、興味関心度合いに応じた適切な情報提供が行われないことです。例えば情報収集を目的にメルマガ登録をした人に、キャンペーン情報を送付してもすぐに購入に至る確率は低いでしょう。

行動に対してどのような情報を提供すれば目的を達成できるかを検証し、常に最適なシナリオを設定できるよう、改善を繰り返していくことが大切です。

【パターン②】スコアリングの設計が甘い

検討がどの程度具体化しているか、見込み客の興味関心度合いがどの程度高まっているかを数値化するのがスコアリングです。

スコアリングの例
・商品ページの閲覧は1ポイント
・資料のダウンロードは50ポイント
・問い合わせは100ポイント

このように見込み客の行動ごとにポイントを付与し、現在どの程度の興味を持っているかを数値化して管理します。数値が高いほど、見込み客の興味が高いことを表します。

商品情報を閲覧しているだけの人に大量のポイントを付与し、営業がアプローチをかけても受注に至る可能性は低いでしょう。費用のページや詳細カタログのダウンロードなど、購入に対する意欲関心が高いと判断できる行動を起こすまで、情報提供を続けることが重要です。

このスコアリングの設計は、今まで行っていたマーケティングや営業の実績をよく分析し、どの行動にどの程度のポイントを付与するかを精査し続ける必要があります。

また、適切なスコアリングを行うためには、営業担当者との連携と情報共有が重要です。見込み客のあるアクションと受注の相関が低いと判明すれば、そのアクションに対し付与するポイントは下げていくなどの調整をする必要があります。

【パターン③】必要とされるコンテンツを適切に提供できていない

見込み客育成を行うためには、提供するコンテンツを充実させるとともに、適切なタイミングで提供していく必要があります。見込み客の検討状況や知識レベルに合わせ、提供をするコンテンツを変えていかなければ、興味関心度合いは上がっていきません。

コンテンツとしては以下のようなものがあります。

コンテンツの例
・製品が解決する課題
・導入効果
・製品の機能
・顧客事例
・価格
・導入手法 等

必要なコンテンツを用意しなければ、シナリオのパターンも限られますし、行動から読み取れる仮説も立てられません。また、製品が解決する課題や効果がわからないうちに機能の情報を提供したり、価格を先に提供しても、効果的に見込み客のナーチャリングができません。

そのため、コンテンツを用意する上では、ターゲットとなる企業や業種、そこにおける課題や担当者の行動パターン、必要とする情報などの理解が重要となります。

【パターン④】設定の見直しや修正がおろそかになっている

MAは一度設定したら終わりではなく、設定したシナリオやスコアリングの成果を定常的に確認・調整しながら運用する必要があります。

MAを適切に運用するためには、見込み客の反応を定期的に分析する担当者がいなければなりません。当初設定したシナリオを元にプロモーションの自動化は可能ですが、自動化のプロセスは適切かチェックを行い、客先評価を営業部門と共有するためのリソースが必要です。MAで見込み客管理ができたとしても、それを活用できる環境がなければ、導入の意味はありません。

すべてを自動化してくれる夢のツールではない

MAは一見マーケティングのすべてを自動化してくれる夢のようなツールに思えますが、最適なシナリオ設計やスコアリングのためには継続的な検証が必要です。

漠然とした期待だけでMAを導入するのではなく、KPIなど具体的な目標値を定め蓄積された見込み客情報を活用できるようスコアリングや自社サイトのコンテンツの充実を継続することが大切です。