業界リーダー達の情報サイト

ビジネスにおけるAIの活用例4選

LINEで送る
Pocket

AIは、iPhoneの音声認識アシスタント機能「Siri」や、非構造化データを処理するIBM開発の「Watson」など、さまざまな形で私たちの生活やビジネスの場に導入が進んでいます。今後もAIの市場は成長し続けることが予測され、AIの導入が優位性を保つ鍵になることも考えられます。今回はAIをビジネスに活用した最新の事例を紹介していきます。

そもそもAIとは?

AI(Artificial Intelligence)とはその名の通り「人工知能」を指します。AIの歴史は古く20世紀中頃から研究が始まりましたが、近年AIが急速に注目を集めるようになったのは、人間のプロ囲碁棋士を破った初のコンピュータ囲碁プログラムAlphaGoに採用された「ディープラーニング」と呼ばれるテクノロジーが出現したことにあります。ディープラーニングは「第三世代」のAIとも呼ばれ、ルールに基づき人の知的作業を支援する「第一世代」、統計的手法により最適解を発見する「第二世代」とは異なり、あらかじめ人が設計しなくても、コンピューター自身が膨大なデータを読み解き、そこに隠れているルールや相関関係などの特徴を発見し学習していきます。ビジネスにおいては音声認識や自動翻訳などの第二世代の普及が始まり、自動運転など第三世代にも近い高度な判断が必要な用途の実用化も始まりつつあります。
それではビジネスの場における活用例について見ていきたいと思います。

【活用例①】与信審査

膨大なデータから法則や傾向を見つけることが得意なAIが、金融の世界で支払い能力を審査する「与信審査」に活用され始めています。
企業間取引における後払い決済と請求業務を代行する「Paid」サービスを提供するラクーンは、「Paid」を導入する企業の与信審査において、AIを導入しました。
従来は2日間かかっていた与信審査が1秒で完了し、人間が行うよりも未回収や業務の漏れが少なく、また信用のおける会社には初回の利用であっても利用限度額を高く設定できるなど、柔軟な取引ができます。速さと確実性を重要視する金融の世界で、AIの特徴が最大限に活かされた例です。

【活用例②】音声認識による回答や文書作成の自動化

AIは音声認識の分野でも普及し始めています。音声案内機能を内蔵した「スマートスピーカー」では、音声で買い物やネット検索、さらには雑談を行うことができ、その機能をすでに活用している方も多いと思います。そんな中、NTTは雑音の中でも必要な音声を認識し、正確に会議の議事録を書き起こすことができる技術を開発しました。会議中の会話を発言者ごとに聞き分けることも可能で、現在実用化を目指している段階とのことです。これらが広がると単純作業ではあるものの手間がかかり正確性が求められる議事録作成の工数が削減されることになり、特に会議の多いビジネスでは業務効率の向上が期待できるでしょう。

今後さらに音声認識の機能が向上すれば、人に聞くのと変わらないレベルの応答が可能となり、コールセンターやサポート業務など幅広い分野での活用が期待されます。

【活用例③】移動需要の予測によるタクシー配車の効率化

今年2月には、現在から30分後までの未来のタクシー乗車需要の予測結果などのデータをオンラインで配信するサービスも登場しています。AIが当日の天気やタクシーの運行データ、周辺地域の情報を考慮し、今後30分間の乗車需要の予測を行います。未来の移動需要を可視化し、需要に応じた最適な配車を可能とすることで、タクシーの効率的な運行が可能となり、待機時間の削減やドライバー不足の問題を改善します。タクシー業界の生産性や業務の効率化をすることが可能です。

需要予測はまだタクシー利用に限られますが、今後はほかの交通機関への応用も期待されています。そのほかにも製造や物流などさまざまな職種で活用できる可能性があり、需要予測で市場や働き方に大きな変化が表れそうです。

【活用例④】バーチャルヒューマン

最近では、3DCGで作成された女子高生「saya」というAI搭載のバーチャルヒューマンが登場し、そのリアルさゆえに、講談社主催の個性派女子オーディションプロジェクト「ミスiD 2018」にも選出され話題となりました。

日本のゲーム業界では、以前からAI搭載のキャラクターを使ったゲームが開発されており、AI同士の会話や性格設定による自然な動作など、着実に成長してきた分野です。今後は、「saya」のようなAI搭載のバーチャルヒューマンがエンタメ系分野にタレントや一人のアーティストとして活用されるほか、企業の受付や窓口などへの活用も期待されています。

自動化ではなく優位性構築のためのAI活用が大事

AIの発展は目覚しいものがあり、業務の精度向上や高速化を可能にする重要なパートナーとして今後も開発されていくでしょう。自社でAIを活用するのは早いと思っていても、競合が活用を始めることで競争関係が変わっていくことも予想されます。今の業務をただ自動化する便利な道具として考えるだけでなく、市場の開拓や優位性の構築に役立つツールとして考えていくことが大事です。