経理システム、購買システム、勤怠管理システムと、バックオフィス業務のDXはこの10年で着実に進んできました。ところが、部門ごとの導入状況を全社で棚卸ししてみると、システムの数だけ「データの切れ目」が存在しているケースは少なくありません。
経営企画部門にとって本当に必要なのは、個々の部門がDX化されているかどうかではなく、経理・購買・支払という一連の業務が、部門をまたいで一つのデータの流れとして機能しているかどうかです。
本記事では、バックオフィス業務が部門ごとに、そして取引先との間でも分断されがちな理由を整理したうえで、全社視点かつ企業間の視点でDXを進めるためのポイントを解説します。
バックオフィスDXの部門最適が進んでも、全社最適にならない理由

多くの企業では、経理・購買・法務・人事といったバックオフィス部門が、それぞれ独自にシステムやツールを導入しています。
購買部門は発注管理システムを、経理部門は会計システムを、それぞれの部門課題に合わせて選定してきた結果、部門ごとの業務効率は一定水準まで改善されていると言えるでしょう。
しかし、部門をまたぐ業務では、この個別最適がむしろ非効率の原因になります。たとえば、購買部門が発注したデータは、経理部門が請求書と突き合わせる際に再入力が必要になることがあります。承認フローも部門ごとに異なるシステム上で動いていれば、全社の承認状況を横断的に把握することは困難です。
部門ごとのDXが進んでいるにもかかわらず、全社で見ると「どこで何が滞っているか分からない」状態が残ってしまう――これが、バックオフィスDXが部門最適の先で行き詰まる典型的なパターンです。
経理・購買・支払、それぞれの業務に潜む分断

全社視点でバックオフィス業務を捉え直すと、経理・購買・支払の3つの業務が、本来は一連のプロセスであることが見えてきます。
購買
発注申請、承認、発注書の発行までを担いますが、発注データが経理側のシステムと連携していなければ、請求書との照合は手作業に頼ることになります。
経理
請求書の受領から支払処理までを担いますが、発注・検収の情報がなければ、金額や数量の妥当性を確認する作業に時間がかかります。
支払
承認済みの請求内容にもとづいて振込処理を行いますが、承認状況がリアルタイムで見えていなければ、支払遅延や二重払いのリスクが残ります。
これらの業務は、本来であれば発注から支払までを一本のデータの流れとして扱うべきものです。しかし、部門ごとにシステムが分断されていると、各工程の間で情報が途切れ、担当者の手作業による橋渡しが必要になります。
さらに、こうした分断は社内にとどまりません。発注書や請求書は取引先とのやり取りを通じて発生するデータであり、自社の業務フローだけを整えても、取引先とのデータ形式や連携方法がバラバラであれば、受領後の確認や転記といった手作業は残ります。
部門間だけでなく、取引先を含めた企業間のデータ連携までを視野に入れることが、分断を根本から解消する鍵となるでしょう。
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バックオフィスDXを進める2つの視点

部門ごとの分断を解消し、全社視点でバックオフィスのDXを進めるためには、以下の2つの視点が重要になります。
1.データの流れを部門横断で設計する
まず着手すべきは、発注・検収・請求・支払という業務の流れを、部門をまたいで一つのデータとして扱えるように設計することです。
個別の部門でツールを刷新するのではなく、「どのデータが、どの部門からどの部門へ渡るのか」を可視化し、その接続部分にある手作業(転記・突合・二重入力)を洗い出すことから始めます。多くの場合、非効率の大部分はこの接続部分に集中しています。
また、データの流れを設計する際は、社内の部門間だけでなく、取引先との接続も対象に含めることが重要です。自社システムの整備にとどまらず、取引先とのやり取り自体をデータでつなげられれば、受領後の確認作業そのものを減らすことができます。
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2.承認・進捗を全社で可視化する
部門ごとの承認フローが独立していると、経営層や管理部門が全社の業務状況を把握することが難しくなります。
「どの案件が、どの部門の、どの承認段階で止まっているか」が横断的に見える状態をつくることで、ボトルネックの早期発見や、部門をまたいだ調整が可能になります。また、可視化は業務効率化だけでなく、内部統制やガバナンスの観点からも重要な要素です。
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バックオフィスDXが停滞しやすい3つの壁

全社視点でのバックオフィスDXは、部門単位のDXよりも実現のハードルが高くなります。主なは以下の3つです。
壁1:部門間の利害調整
それぞれの部門が既存のシステムに慣れている場合、統合や連携には追加の工数が発生します。どの部門にとってもメリットが見える形で進め方を設計することが必要です。
壁2:システム選定の複雑化
複数部門にまたがるプロジェクトは、要件が多岐にわたるため、システム選定の難易度も上がります。すべての部門の要望を個別に満たそうとすると、かえって導入が長期化する傾向があります。
壁3:推進体制の不在
部門横断のプロジェクトは、明確なオーナーがいないと停滞しがちです。経営企画部門など、全社視点を持つ部門が旗振り役となり、経理・購買それぞれの部門と調整しながら進める体制が求められます。
経理・購買・支払をデータでつなぐという発想

見出しでは「3つの壁」となっているため、「主な壁は以下の3つです」とすると表現が統一されるかと思います。
部門ごとの効率化を積み重ねても、部門間の接続部分が手作業のままであれば、全社の業務スピードは変わりません。
バックオフィスDXにおいて重要なのは、個々のシステムを最新化することよりも、発注から支払までのプロセスを一貫したデータの流れとして再設計することです。
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Tradeshift(トレードシフト)は、取引先との接続を起点に、発注・検収・請求・支払までのプロセスを一つのプラットフォーム上でデータとして管理できるソリューションを提供しています。部門ごとに分断されがちな情報を一元化し、全社の業務状況をリアルタイムで可視化できる仕組みは、経営企画部門が全社最適の視点でバックオフィス改革を進める際の有効な選択肢の一つです。
自社のバックオフィス業務がどこで分断しているか、まずはお気軽にご相談ください。
バックオフィスDXは、プロセス全体をデータでつなぐ発想から
バックオフィスDXは、部門ごとの効率化の先にある「全社最適」を目指す取り組みです。
- 部門最適が進んでも、部門間の接続部分に非効率が残ることが多い
- 経理・購買・支払は本来、発注から支払までの一連のプロセスとしてつながっている
- データの流れを部門横断で設計し、承認・進捗を全社で可視化することが鍵
- 停滞の要因は技術より、部門間調整や推進体制にあることが多い
- 個別システムの刷新より、プロセス全体をデータでつなぐ発想が全社最適につながる
全社最適は、一部門の努力だけでは実現しません。経理・購買・支払をまたいでデータをつなぐ取り組みは、業務のスピードを上げるだけでなく、部門間の壁を越えて協働する組織文化を育てるきっかけにもなります。
DXの成果は導入した瞬間ではなく、部門を越えたデータの流れが当たり前になったときに初めて見えてくるものです。まずは自社のどこにデータの切れ目があるか、経営企画部門の視点で棚卸しすることから始めてみてはいかがでしょうか。
支払業務全体の効率化とガバナンス強化を支援します。