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JTCこそ積極的な変革が必要な時代到来 日本を代表する企業が目指す不易流行

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変化が激しい昨今において、日本経済の発展を長きにわたり支えてきた伝統的な日本企業においても過渡期・変革期を迎えつつあります。それは半世紀、もしくは1世紀以上にわたり栄華を極め、世界シェアを誇るような大企業にとっても例外ではありません。旧来の在り方のままでは、これまでと同様の成長を遂げることはできないという危機感を抱いている方も多いでしょう。そうした時代背景を踏まえ、近年では昔ながらの伝統や企業体質を重んじる日本企業が「JTC」と呼ばれています。

社会や企業は栄枯必衰であり、さらなる発展を目指すためには常に時代に適応し続ける必要があるでしょう。このJTCという呼称は、長きにわたり日本経済を支えてきた偉大な企業を称えると同時に、令和へと時代が移り変わった現代においても過去の栄光にすがったり、こだわったりすることを揶揄する一面があります。日本を代表する大企業だからこそ、格式高い伝統があるからこそ、「不易流行」を目指して変わるべき時が訪れていると言えます。

昭和体質を感じさせる日本企業「JTC」とは


近年、XなどのSNSでよく目にするようになった「JTC」という言葉。日本経済新聞によると、2023年1月からの約1年間でのXにおけるJTC関連の投稿数は24万件を超えたという調査結果(※1)がリリースされています。JTCとは「Japanese Traditional Company」の略語であり、日本語訳の通り「伝統的な日本企業」、特に多くの人が名前を知っているような大企業を指す言葉です。他が羨む成功を収め、高い社会的地位がある大企業だからこそ、企業の在り方は常に注目されていて、時には厳しい視点で見られたり、批判されたりするケースもあるのがJTCの実情と言えます。

JTCの中には1世紀以上にわたり、企業価値を示し続けていた日本が世界に誇れる企業がたくさん存在します。その一方で、伝統を重んじるあまりに旧態依然の体制や取り組みをあまり変えようとしない傾向も少なからず見受けられます。もちろん、変化と革新を追い求め、常に時代の一歩先を進み続けるJTCも存在するでしょう。しかし、令和の時代に入り、JTCの中でも明確に時代について行ける企業と、そうでない企業に分かれ始めているのも社会のトレンドだと言えます。

2025年は年号換算で考えると令和7年ですが、もし昭和の年号が続いたとしたら、「昭和100年」に該当する年です。昭和から続く100年企業は、それだけで称賛に値するのは間違いありませんが、だからといって昭和体質を継続させることで次の100年を迎えられる保証はどこにもありません。長時間労働や男女不平等などどの企業における改善すべき問題はもちろんのこと、かつての日本企業の長所でもあった終身雇用や年功序列などの制度にも勇気を持ってメスを入れていく必要があるでしょう。

JTCは各業界のトップランナーであることが多いので、JTCが率先して企業改革に乗り出すことは業界全体に大きな影響を与えることと同義でもあります。もちろん、企業のアイデンティティとも呼べる良き伝統までも変える必要はありませんが、時代に合った働き方や考え方のできる環境や制度については整えたり、ドラスティックに変えていったりすることが求められています。SNSなどで目にする「#JTCあるある」などは、旧態依然のまま変わることが期待できない企業姿勢を揶揄する、現代的な物の見方だと解釈することができるでしょう。

※1 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC3018A0Q4A130C2000000/

かつては世界の上位を占めた日本企業の凋落

なぜすでに大きな成功を収めているJTCが、さらに変わり続けなければいけないのでしょうか。その答えは、平成元年(1989年)以降の日本企業の恐ろしいまでの凋落です。企業規模や価値を示す指標として株式価格と発行済株式数を掛け合わせた「時価総額」が用いられますが、その企業の時価総額を世界規模でリサーチした調査を過去と現代で比較すると、驚くべき日本の現状を突きつけられることとなります。

経済産業省がリリースした「変革の時代における人材競争力強化のための9つの提言」(※2)によると、平成元年(1989年)の世界時価総額ランキングの上位100社の中には、日本企業が53社もランクインしていることが分かります。世界トップのうち半数以上が日本企業というすさまじい成績であり、バブル景気で賑わっていた頃の平成初期の日本の勢いを感じられるでしょう。しかし、バブルが崩壊して日本経済が下火になると、2009年は上位100に6社、2018年に至ってはトヨタ自動車の1社だけという厳しい現実を突きつけられる結果となりました。

※2 経済産業省「変革の時代における人材競争力強化のための9つの提言」より引用
https://www.meti.go.jp/shingikai/economy/jinzai_management/pdf/20190326_01.pdf

また、2018年当時は、日本企業のトップであるトヨタ自動車が23位にランクインしていましたが、オンライン投資教育サービスを手掛ける180合同会社のリリースデータ(※3)によると、2025年1月のランキングでは43位まで順位を落としています。ランクダウンしているものの、トヨタ自動車が経営難に陥っているかというとそうではありません。トヨタ自動車は2024年の年間販売台数は、グループ全体で1082万1480台となり、5年連続で世界トップに輝いています。

つまり、トヨタ自動車は堅調に成長を続けていますが、それ以上に世界のトップ企業が急成長を続けているということです。グローバル化が進む現代においては、国外の情勢を無視したドメスティックな経営は得策とは言えないかもしれません。特に世界にシェアを広げているJTCにおいては、こうした世界情勢を踏まえてさらなる企業成長を目指す必要性を強く認識する必要があるでしょう。

※3 180合同会社「世界時価総額ランキング」
https://www.180.co.jp/world_etf_adr/adr/ranking.htm

JTCに求められるのは柔軟さと信念の共存

2024年に日本は国内総生産(GDP)において、ドイツに抜かれて4位になりました。国際通貨基金(IMF)による推計だと2025年にはインドにも抜かれて5位にまで転落することを予測しています(※4)。記録的な円安を更新し、世界時価総額ランキングでは凋落の一途を辿り、さらにGDPにおいても他国の後塵を拝す状況では、日本企業が立たされている局面は非常に厳しいことは間違いありません。

しかし、「ピンチはチャンス」という言葉があるように、日本経済がかつてないほどの危機的な状況に陥っている現代だからこそ、JTCを中心とした日本企業が大きな変革に挑むべきタイミングであるとも言えます。まさにやるかやらないかの「now or never」の局面に立たされているだけに、日本を代表する存在でもあるJTCを中心に変わり始めることが大切です。

もちろん、時代のニーズや今後の成長を目指して変化に対して柔軟さを持つことは非常に重要ですが、一方で企業として築いた独自の価値やノウハウなどの信念の部分は変える必要がありません。近年はJTCにおいても、ブランド価値やビジネス戦略を見直すリブランディングが注目されていますが、抜本的に変える部分と伝統を守り抜く部分は明確に区別することが大切です。時代の流れに沿って変化しつつも、本質的な部分を変えない「不易流行」は、まさに今の時代にJTCが取り入れるべき考え方だと言えるでしょう。

今後は他国を含めてさらに変化が大きく、早くなることが想定されるだけに、現状維持を目指すだけでは停滞どころか、時代に取り残されてしまう恐れがあります。各分野で世界に誇るプロダクトを有するJTCだからこそ、変わる柔軟さと変えない信念を共存させて企業成長を促進させていくべきでしょう。

※4 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240505-OYT1T50089/

 

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