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共催ウェビナー開催でビジネス拡大? アーカイブ配信や採録記事の活用法とは

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企業が主体的に情報発信を行う現代において、多くの企業が積極的に取り入れているマーケティング手法の1つが「セミナー」です。事業関連のノウハウや自社のプロダクトの紹介を通して、新規リード(見込み顧客)の獲得やナーチャリング、ビジネスチャンスの機会創出などを目的としています。実際に参加経験がなかったとしても、セミナーの告知や勧誘を受けたことのあるビジネスパーソンは少なくないでしょう。

セミナーは有効なマーケティング手段であることは間違いありませんが、コロナ禍やビジネス全体のDX推進の影響もあり、リアルイベントの実施を見送るケースも増えています。そうした状況下で注目度を高めているのが、オンラインでセミナーを実施する「ウェビナー」です。オンライン会議のように、インターネット環境があれば現地に赴くことなく参加できるのがウェビナーの大きな利点であり、他社と共同で開催する「共催ウェビナー」実施という選択肢もあります。企業間取引の機会拡大を目指すうえでの、共催ウェビナーの活用法について考察します。

オンラインセミナーが一般化して「ウェビナー」の通称に

オンライン全盛の時代において、ビジネスでの動画配信・視聴が一般的となったこともあり、急速に普及したのがウェビナーです。「Web」と「Seminar」を組み合わせた造語が語源であり、英語では「Webinar」と表記されます。「Webinar」は和製英語ではなく、英語圏の国でも一般的に使われている言葉です。そうした言語の浸透は、日本国内での普及はもちろんのこと、グローバル視点においてもオンラインでセミナーを実施する機会がすでに世界中で定着していることの証左と言えるでしょう。

※図は株式会社トップランナーマーケティングのプレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000076161.html)より引用

対面で直接話せたり、画面には映り切れない表情を確認したりできるセミナーは、リアルイベントとして非常に価値があります。しかし、一方で「同じ情報や機会が得られるならセミナーよりウェビナーを希望する」という人が増加傾向にあります。

オンラインイベント企画支援サービスを提供する株式会社トップランナーマーケティングが発表した「ウェビナーに関する意識や行動について調査」によると、「仕事・業務関連のイベントがオン・オフの両方で開催された場合、どちらで参加申し込みをしますか?」という質問に対して、52.9%が「オンラインで申し込むと思う」と回答しました。セミナーに関してオン・オフの両方の選択肢がある場合、オンラインのウェビナーを選ぶ人の割合が過半数を占めているのが現在のトレンドです。

また、ブランドコンサルティングやコンテンツマーケティング、ネット集客支援、メディアPR代行などを担う株式会社リンクアンドパートナーズが行った「ウェビナーの実態調査」では、ウェビナー参加者の行動変容についてリサーチ。「ウェビナー参加後、商品やサービスの購入や契約に至った経験はありますか?」という質問に対して、59.5%が「はい」と答えました。ウェビナーをきっかけに、実に6割の人がアクションを起こしているというのも非常に興味深い結果です。

※図は株式会社リンクアンドパートナーズのプレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000083.000064362.html)より引用

リアルイベントとしてのセミナーと同様に、オンラインでのウェビナーでもマーケティングにおいて効果が実証されているのであれば、ウェビナー開催に移行する企業も少なくないでしょう。また、参加者視点を踏まえると、移動や拘束時間の制約が少ないウェビナーのほうがより気軽に参加しやすい点において魅力を感じやすいはずです。

企業間コラボを実現しやすい共催型のウェビナー

リード獲得の有効な手段として注目されているウェビナーですが、セミナーよりも開催の障壁が低いがゆえに、競合企業のウェビナーとバッティングしたり、差別化が図りにくかったりする懸念があります。特に「足を運ばないと参加できないセミナー」に対して、「とりあえずアクセスすれば参加できるウェビナー」では、参加者の意欲やリテラシーレベルにも差が出てきます。集客はできているものの、「有効なリードにつながらない」という結果であれば、ウェビナーにおける戦略をきちんと見定める必要があるでしょう。

ウェビナーの集客やリード獲得の1つの解決策となり得るのが「共催ウェビナー」です。1社だけで開催する単独ウェビナーと比較して、共催ウェビナーは複数社で協力して参加者を集うため、集客効果が高まることが期待できます。また、参加者リストを共有することで自社だけでは関わりを持てなかった潜在顧客層とのつながりを持てる可能性も広がります。

また、同じテーマに沿って複数の登壇者がトークセッションをするウェビナーであれば、共催先の企業との関係性や連携面も見られるので、参加者側としてもその後の商談を想起しやすくなる面もあるでしょう。それこそ、付き合いのある企業のウェビナーに参加した結果、共催先の企業のプロダクトに興味を持ってスピード商談につながるというケースも珍しいことではありません。自社にない特徴を持った他社と組むことで、リーチできていなかった商圏範囲にもアプローチできるなど、相互補完につながる点も共催ウェビナーならではのメリットです。

一方、共催ウェビナーでは他社とコラボレーションするだけに、相応の準備と結果に対するレビューを徹底することも求められます。単独ウェビナーであれば、たとえ集客が思うように進まなかったとしても、自社だけの反省と教訓で済みますが、他社のリソースを投下する共催ウェビナーでの失敗は今後の企業間の関係性にも影響が出かねません。成功すれば得られるものが多いと考えられる共催ウェビナーなだけに、共催先との連携には細心の注意と最大限の敬意を持って対応することが重要です。

積極的にすべきウェビナーのコンテンツ化による二次活用

単独・共催の開催形式を問わず、ウェビナーを実施した際に取り組むべきマーケティング施策としては、「コンテンツ化による二次活用」です。セミナーを開催した際に、その様子を撮影して映像として配信、アーカイブ化するのも二次活用の一種と言えます。ウェビナーの場合も同様に、アカウントを持つ会員限定の領域内で過去のウェビナーをアーカイブ配信する施策も有効です。また、ウェビナーの内容をコンテンツにまとめる採録記事も情報発信の手法として活用をおすすめします。

ウェビナーへの参加やアーカイブ配信の動画視聴において、「内容把握においてまとまった時間を確保できない」「必要としている情報だけ欲しい」という人のニーズに応えやすいのが採録記事です。ウェビナーの重要箇所を簡潔にコンテンツ化すれば、必要な情報だけが欲しい人にとっても時間短縮で情報収集ができます。

「ウェビナーで発信する情報を記事で流してしまうのはもったいない」と考えるかもしれませんが、コンテンツ化することでテーマに沿ったキーワードのSEO対策にもなるでしょう。また、採録記事内にホワイトペーパーのダウンロード先や次回のウェビナーの予約の導線を設計すれば、コンバージョンの獲得も期待できます。ウェビナーへの参加者だけが有効なリードではなく、二次活用のコンテンツも含めて見込み顧客層を想定しておけば、ウェビナーをきっかけにさまざまな施策に講じることも可能です。

近未来にはウェビナーの3Dインターネット活用も

リアルイベントのセミナーから、オンラインのウェビナーへと進化を遂げた経緯がありますが、ウェビナー界隈のテクノロジーとしては今後どんな発展が期待できるでしょうか。可能性としては3Dインターネットを活用したウェビナーの開催が挙げられます。たとえば、メタバース上でウェビナー開催が行われ、アバター同士がバーチャル空間において交流を持てるイベントなども近未来的では考えられるでしょう。

また、ビジネスにおいてはOtoO(Online to Offline/オンラインからオフラインの消費行動)の施策も増えてきているだけに、オフラインと同様のライブ感を味わえるホログラムで登壇者が登場する3Dインターネットのウェビナーなども将来的には実現するかもしれません。ひと昔前にはなかったマーケティング施策が、現在では当たり前になっているように、近未来ではウェビナーの形式や実現できる領域もより幅広くなっているでしょう。時代のニーズに合わせて、ウェビナーの自社に合った活用法を見定めることは、マーケティング施策で成果を出すうえでは重要になるはずです。

 

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