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すべてのサプライヤーがつながる日

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今日、多くのソフトウェアベンダーが、こぞって既存の製品に請求書の機能を追加したり、既存の電子請求書の仕組みを新しくしたりしています。支出管理のソフトウェアを提供するCoupaは同社のソフトに電子請求書の機能を追加したと発表し、電子請求書のグローバルネットワークを提供するOB10は既存のポータルをアップグレードしています。このように、多くの企業が日夜新しい機能の開発にエネルギーを費やしています。

しかしながら、サプライヤーがそのソフトウェアを使用していなければ、どれほど機能を備えた完璧なソフトウェアでも何の意味もありません。例えばコンピューター上で繋がっているサプライヤーがサプライチェーン全体の10パーセントにも満たない場合、発注書のマッチング機能はあまり意味がないでしょう。どんなに素晴らしい機能があっても使う人がいなければ宝の持ち腐れです。

電子請求書やビジネスマッチング関連のソフトウェアが他のビジネスソフトウェアと異なるのはこのためです。「この機能が欲しいはずだ」という勝手な思い込みで、機能性ばかりを追い求めても、全ての取引にはサプライヤー(売り手)とバイヤー(買い手)の異なる2つの立場があります。そして、両者共に自分にとって価値があるもののみを追求しています。これが、これまで多くの企業が悩まされてきた問題の1つと言えるでしょう。

【サプライヤーの悩み】

  • 小規模のサプライヤーにとって、OB10のネットワーク上での電子請求書の送信は、従来の郵送でのやりとりより多くの費用がかかる。
  • 85パーセント以上の経理・財務担当者が、この件に不満を持っている。
  • 多くの場合、サプライヤーは請求書を発行するために10以上の異なった方法やソフトウェアを使わなければいけない現実がある。
  • 何らかの電子商取引ネットワークとつながっているEU企業は15パーセント以下で、世界的にはわずか7パーセント未満にとどまる。

 

電子請求書は紙よりコストがかかる!?

7月にブリュッセルで開かれたShared Service Linkという協議会で、大手サプライヤーであるPerkinElmer社のトムという男性が、従来の紙の請求書を使用したほうが会社にとって安上がりであるという衝撃的な計算結果を発表しました。PerkinElmerのような大手でもそうだとすれば、中小サプライヤーにとってはどれほどの痛手になっているでしょうか。

紙より安く提供できないのなら、電子請求書の導入は完全なる失敗です。

では、現在サプライヤーに無料ポータルを提供しているCoupaなどのベンダーはどうでしょうか。

多くのベンダーは、今後数年間サプライヤーに無料の電子請求書を提供していくでしょう。しかし、私はそれも失敗に終わるだろうと予測しています。その理由は主に2つあります。

【ベンダーの勘違い】

  • ベンダーは本当のサプライヤー価値を理解せず、「無料」での提供が全てだと勘違いをしている。
  • ベンダーは、スペンドマネジメント(支出管理の視点から経営判断や収益につながるコスト削減を行うソリューション)等の大きな利益を約束するものにばかり気をとられ、全てのサプライチェーンとつながって本当の価値を提供する気がない。

 

サプライヤー視点でソリューションを提供

電子請求書やサプライチェーンがきちんと機能するためには、サプライヤーがいかに習慣的に利用するかにかかっています。そのためトレードシフトは、サプライヤー視点に立ったソフトウェア開発を始めています。1つの製品の開発概念の5割以上をサプライヤー視点から構築することによって、サプライヤーに満足のいく製品の開発を行っています。それは主に以下のポイントです。

【サプライヤー視点の製品開発】

  • サプライヤーに無料のサービスを提供し、無制限に取引が可能。
  • トレードシフトのプラットフォームではネットワーク上にいるすべての顧客がサービスの対象である。
  • サプライヤーは取引の際、リアルタイムでステータスを把握できる。請求書を受信したとき、それが受理されたときや支払われたときなど全てにメールで通知が送られる。
  • トレードシフト自社内で、請求、支払に関わるさまざまなアプリの開発を行い、基本的なアプリは無料で利用できる。
  • 97パーセント以上のサプライヤーが、サービスに大変満足していると回答している。

 

すべてのサプライヤーがつながるために

請求書を主にやり取りしている上位10%のサプライヤーとだけでなく、全てのサプライチェーンとつながっていなければならないのはなぜでしょうか。

上位10パーセントだけとつながるのは、ごく一部のサプライチェーンとの限られたビジネスを最適化したにすぎません。全てのサプライヤーとの双方間のコミュニケーション、発注のマッチング、サプライチェーン・ファイナンス等のプロセスが機能するためには、全てのサプライヤーの参加が不可欠なのです。そして全てのサプライチェーンが利用できるプラットフォームがあれば、サプライヤー間で行われる全ての業務において効率が上がり、また全体でのコスト削減が可能になるのです。

しかしこれは困難なことなので、今まで行われていませんでした。当然ですが、サプライヤーは新しい電子サービスに登録したがらないものです。さらに、数千ものサプライヤーを1つのシステムで管理するためには、確かな技術や運用管理手法が必要となります。

前述のCoupaや企業間商取引のソリューションを提供するアリバとも異なり、無料で電子請求書を発行するための数あるサービスとも違う――トレードシフトのビジョンは規模の大小に関係なく、「すべてのサプライチェーンがつながる」ことなのです。

 


トレードシフトは、すべてのサプライヤーをつなぎます。