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新時代の働き方へ”Shift”しよう

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企業間での見積書、注文書、請求書などの取引文書やりとりから、それらに関連する社内の購買や支払いプロセスなどをすべてオンライン上で全て行えるサービス「Tradeshift」。

本ブログでは前回 「企業版facebook」が描く新しい働き方 と題して、「Tradeshift」で行える事や、未来へのヴィジョンを紹介した。

今回はさらにつっこんで、「Tradeshiftを使う事がどの様に新しい働き方に通じるのか」「効率的に働く事の重要性」を私の経験も交えながらお話ししたい。

 

「労働=美しい」という発想を捨てよう

『ZOZOTOWN』のスタートトゥデイやヤフージャパンが“時短勤務”をすると発表した際、ネットニュース等で大きな話題となったが、これらの変革をありがたがったり、珍しがるのでは無く、これが当り前である社会であって欲しいと思う。私は、常々「働く事が美しいとは思っていない」からだ。

働くということ自体はもちろん必要なのだが、日本では長らく、長時間、辛く、嫌いな事をして頑張ることがお金をもらう為の対価とされてきた。が、私は効率良く働いて、自由時間を好きな事の為に過ごすという事が本来のあるべき姿だと思っている。家族と過ごす時間、趣味に没頭する時間……。働いている時間よりも大切な時間は誰にだってあるはずだ。

効率よく働くために、何をするのが一番手っ取り早いかというと、ツールは整っているので、ツールを利用して楽になろう、という事。最近日本でも自動運転、等が話題に挙がるが、欧米では人工知能を利用したAmazonの「無人コンビニ」がもう登場していて、同じくAmazonで荷物の配達をドローンで行う仕組みも実施が開始されている。そうした、必ずしも人間が行う必要の無い仕事や作業をどんどん機械化する事で、人間はもっと楽しく働き、豊かな生活が出来ると考えている。

(※参照記事:http://www.nikkei.com/article/DGXLASGN05H1T_W6A201C1000000/

 

無意味なのに形式的に続いてきた“紙の書類”でのやりとり

これまで、注文書や請求書はPCでWordやExcelで作成した物を印刷し、それをFAXしたり郵送するという、二重の手間を強いられてきた。必要なやりとりはメールで行われ、データ上で互いの確認が完了していても、「ずっとこのやり方だから」と最終的に紙を発行しなくてはいけない。その紙を誰も見ていなくても、一応やらないといけない。これは、極論で言うと、部長のデスクに溜まっている書類に電話で指示を受けた若い女子社員が代わりにハンコを押す、といったような、本当は必要無いのだけど形式的に行っている作業、と何も変わらないわけだ。

書類は担当者のデスクのトレーに入れて、社内を回り「書類をトレーに入れました」とメールする会社すらある。PC、スマートフォンなど、どこでも自由に仕事が出来るITインフラがこれだけ普及しているのに、未だに会社に縛られている、と感じるのは私だけでは無いだろう。

「Tradeshift」は、全てオンライン上で書類の確認を行える上、チャットの様に修正依頼や完了報告など、やりとりがそのままエビデンスに直結するという仕組みをとっているので、その様な無駄な手間が一切無い。いつでもどこでもやりとりが見れて、承認や決済を行える。現在、200ヶ国、80万社で使われているが、日本でさらに普及させる事が我々の目標であり使命であると考えている。

 

“寝てないアピール”はカッコ悪いこと

欧米では日本のように月末締めといった概念は無くプロセスがシンプルなので、地域の商習慣に起因する導入のしやすさを考慮しても、ペーパーレス化は日本と比べぐっと先に進んでいる。例えばアメリカでは先ほどの無人コンビニやドローンでの配達など、新しい考え方がどんどん生まれて実践されている。また“働く”という事に対する考え方がそもそも異なる。日本では「こんなにたくさん働いている」「昨日寝てない」などが自慢のネタになる事があるが、アメリカでこんなことを言っていたら、「仕事が出来ないとなぜアピールしているのだろう?」と笑われてしまう。皆、自分の自由時間の為に仕事の効率化を率先しているからだ。これは、私が冒頭で書いた「働く事が美しいとは思っていない」という意見に直結している。

何でも一度、従来の仕組みに囚われずに考えてみると、様々な事に気付けると思う。日本の大企業の人事の方と話す機会があり、私が「45歳の能力があまり高く無いボトムのスタッフと、25歳の能力が高いトップのスタッフ、どちらの給料が高いですか?」と聞くと、皆「もちろん45歳です」と答える。でも、これって全く意味の分からない話だとは思わないだろうか。高い給料を払う=会社により必要な人材である、という大前提において、その会社は能力の高い若者を優遇しないのですか? となってしまう。そんな事では人材がどんどん日本から流出してしまうではないか。

 

若者や子供たちのために働き方の改革を

実は、先日実家で私が小学校5年生の時に書いた文集が出て来たのだが、そこには「未来は農業などもロボットで自動化されている」と書いてあった。自分は30年以上前から考え方が変わらないのだな、と驚いたと同時に、まだその社会が実現されていない事への遅さへ憂いを感じた。

私は時々、本ブログで書いている様な内容を知人・友人に話すのだが、「お前は日本が好きじゃないのか?」と問われる事がしばしばある。しかし、それは全くの逆で、日本を愛し、日本にもっと豊かな国になって欲しいと願っているからこそ、働き方に縛られている社会を危惧しているのである。

企業が、社会が、国が変わっていかなければ、若者や子供たちへの未来が無い。

私は「Tradeshift」というサービスをとおして、新しい働き方への変革も促したいと思い、少なくとも業務効率の面において、変える事は出来ると考えている。

この「トレードシフト ブログ」では、今後も「新しい働き方」をテーマに、国内外の様々な事例や取り組み、インタビュー記事などを更新予定。私と同じ様に社会への疑問を感じている方、日本での働きづらさを感じている方は、ぜひ注目いただき、様々な意見を聞かせていただければ幸いである。