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地方で起業? 初日から世界を相手に商売を!

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ZERO TO HERO ~地方創生リーダーシップ~
【第4回 (デンマーク/シリコンバレー)】

この連載では地方創生時代にチャレンジを続ける、
日本各地の改革者を紹介しています。
それにプラスして、ほんの少しのノウハウと、
それにまつわるITのサービスも同時にシェア。

HAPPY READING!

 

「地方で起業する人」を、もっともっと増やしたい

「すごいよ! これは企業版の<フェイスブック>だ」

こんな噂が働く人から人に伝わっています。

その正体は2年前に上陸した<トレードシフト>。

評判通り誰もが世界中の企業とつながれるITツールですが、
素晴らしいのは請求書の発行や受発注もアプリ上でできること。

これさえあれば利用者同士(企業同士)は、
あたかも大きな“ひとつの企業”のように
取引やコミュニケーションが可能になります。

1週間に1000社という数で増え続けるユーザー数に、
<トレードシフト>の勢いや注目度をビシビシ感じます。

いつもは地方創生時代のキーワードと事例、
そして関連したITサービスの紹介でお送りしている、この連載。

今回は<トレードシフト>の創業者でありCEOの
クリスチャン・ラングさんの来日に合わせ、
特別編として彼のメッセージを織り交ぜ綴ります。

 

 

まず聞きたかったのは起業について。

地方創生時代には、もっと「地方で起業する人」が必要です。
それが新たに雇用や産業を生む、大きな原動力になるからです。

クリスチャンが初めて起業したのは、なんと19歳の時!

「<トレードシフト>は3つ目に興した会社だよ」と気さくに話す彼。

学べることは多そうです。

 

失敗に寛容な社会が、地方に起業家を増やす

19歳で興した最初の会社は後にうまくまわらなくなり、
結果としては残念に終わったそうです。

「その時はデンマークにいたんだけど
『そもそも19歳で起業をするべきじゃない』なんて言われた。
でも、シリコンバレーでは、その経験が逆に褒められた。
『失敗の経験があるなんて素晴らしい! トライしたなんて偉い!』って(笑)」

地方や都市部にかかわらず、まずクリスチャンが挙げたのは、
日本がもっと起業への挑戦や失敗に寛容になるといいという点です。
それが起業しようという挑戦者を社会に増やすことにつながると言います。

ちなみに、デンマークの開業率は、およそ14%程度。
高い確率で新しい企業が誕生しています。

対して日本は平均すると4.5%くらい。
他の先進国に比べ起業家が生まれにくい社会といえます。

 

 

クリスチャンは続けます。

「シリコンバレーでは過去15年で200ビリオンドル相当の価値が
“起業”によって生み出されたんだって(1ドル=108円で約20兆円)。
それらの起業の95%は失敗に終わったかもしれない。
でも、2千億ドルだよ! これと同じことが日本で起きたらと考えたら…」

たしかに、すごいことになります!
地方なら、なおさらです。

 

トレードシフト創業者の「起業する上での着眼点」

でも、「起業をしたい」と思ったら、
どんなアイデアで起業すればいいのでしょうか?

ビジネス書を開けば、
「起業とは誰かの困りごとや問題を解決すること。その解決の対価が売上」
と一般的に書かれています。
が、その困りごとや問題の程度や種類については触れていません。

クリスチャンは、この点こんなアドバイスをくれました。

「起業するなら“より難しい問題”の解決を目指すこと」

普通なら、ここへの回答は「夢」「情熱」「あきらめないこと」等、
どこかで聞いたことがあるものになりがち。

でも、返ってきたのはリターンエースのように鋭い答えでした。

「問題解決をするのが起業家だけど、みんなイージーな問題に目をつけがち。
でも、それではすぐにマネっ子が出てくるね。
でも、『ハードな問題を解決する』という観点で起業をすると、簡単にマネされない。
つまり、これは防御策にもなるんだ」

 

 

国境を越えて企業がつながるプラットフォームである<トレードシフト>ですが、
その成功も、より難しい問題に対峙したことにあると言います。

「そこには難解な税金や会計といった問題があるからね」

大変な苦労があったでしょうけど、幸せそうなTシャツ姿に、それは感じません。

 

地方で起業をするならば、1日目から世界を目指す!

デンマークの企業といえば<レゴ><ヒュンメル><マースク><カールスバーグ>等、
聞けば「あぁ!」となる会社や、世界最古と謳われるものが多いです。

が、それらの会社も元々すべてスタートアップ企業です。

「デンマークでは、起業したら1日目から世界を相手にするものだよ」と、クリスチャン。

人口500万人という限られた国内市場では当然の成り行きともいえますが、
秘密はDNAにも見え隠れします。

「バイキングを“戦う人たち”と捉える人も多いけど、
実際は“貿易の人”たちだったんだ。貿易がうまくいかないときだけ戦ったんだよ(笑)」

ユーモアたっぷりに話すクリスチャンですが、
これは日本の地方創生のヒントでもあります。

 

デンマークは世界規模で見たら地方都市。

でも、「人口が少ないから…」と起業を諦めません。
それは前述の開業率が物語っています。

もしも地方に移り住み、そこでの起業を考えている人がいるのなら、
デンマーク人のように起業初日から世界を相手にやっていく! この気概が大事です。

ネット社会では、それが可能です。
言語も含め、ITで大体解決できるはず。

地方創生とクリスチャン・ラングさんの話。

次月も続けていきたいと思います。