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「第4次産業革命」は中小企業で起こっている

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ダボスは井戸端会議?

2年前、ダボスに行くことを勧められた時、私(クリスチャン/トレードシフトCEO)はとても懐疑的でした。そのことを、アメリカのコメディー俳優マルクス・ブラザーズの、「私のような者を歓迎するようなクラブの会員にはなりたくありません」という古い台詞で引用しました。

生意気なやつと思われるかもしれませんが、実際のところ私は、ダボスはただ集まって話すだけの、いわば井戸端会議に他ならないと思っていました。デンマークをはじめヨーロッパ政府、国連で6年間勤務した結果、私は話すことに疲れ果てていました。

 

トレードシフトがダボスに参加した理由

トレードシフトの使命は

“商取引の根本的なメカニズムそのものを利用しながらビジネス全体を変える”

というもので、一般的な企業精神とは真逆のものです。

ビジネスを民主的(平等や自由を尊重)なものにし、グローバルなサプライチェーン(原材料の調達から販売・配達までの一連の流れ)へのアクセスを全ての人に可能とするという私たちの使命は、“世界の経済状況の改善”という、ダボス世界経済フォーラムの大きな目標と一致しています。しかしその一方で、私たちのやり方は野心的で、また型にもはまっていません。

私たちはKPMGSAP等の企業とも異なります。実際問題、私たちは販売会社ですらないのです。ダボスの他の参加者と比べ、私たちはとても異質な存在です。

それなのに、どうして私は今ここにいるのでしょうか?

マルクス・ブラザーズの台詞を引用した1年後、私は東南アジアでの会議に出席し、東南アジアの経済状況の改善が、多くの人々にとって極めて現実的な問題であることを痛感しました。そして、世界経済フォーラム(WEF)のネットワークを利用して良い変化をもたらしたいと切に願いました。

私はまた、「ソフトウェアと社会の将来における国際政策協議」という世界経済フォーラムの、政策決定協議会の1つに招待されました。それは私にとって非常に興味深いものでした。シリコンバレーにおけるおとぎ話のような理想主義は、いつか世界のその他の地域と衝突を招くだろうと、私は考えています。

 

「第4次産業革命」はダボスの外で起こっている

国際政策協議で私たちは、最も重要な課題の1つが、

「(今年ダボスでも言及されていた)“第4次産業革命”が引き起こす混乱を、政策決定者に気づかせることである」

ということで合意しました。これはまさしく、加速的、指数関数的に成長していくムーアの法則のように世界的な影響があるでしょう。

昨年秋にリリースされた国際政策協議報告書の内容の多くが、今年開催のWEFのテーマ「第4次産業革命」で構成されていることを、私は謙虚な気持ちで受けとめると共に誇りに思っています。

http://www.weforum.org/reports/deep-shift-technology-tipping-points-and-societal-impact 参照)

ウィリアム・ギブソンが、

「未来はここにある。ただ、まだ平等に割り振られていないだけだ」

と明言しましたが、私が最も懸念するのは、これから先の未来も平等な分配がなされないのではないかということです。WEF内で議論するのは素晴らしいことですが、企業の経営者、政策立案者や新興企業のほとんどがこのプロセスに関与していません。

真の改革は、ダボスに行くのは非常識だと考える中小企業の中で起こっています。

私たちは明確なビジョンを持ち、型にはまらない革新的な人間を求めています。固定観念をぶち壊し、未来は恐ろしいものでなくて素晴らしいものであるということを証明できる人間が必要なのです。